ドクターに聞く
「長時間のトイレによる、肛門への負担が痔を招く」

「まだ出そう」と思っても、一旦トイレから立ち去ることが痔の予防に
便秘と同様、下痢はトイレの滞在時間が長くなり、頻度も高くなるため、いぼ痔になりやすくなります。長時間トイレに座ることで、脱肛することもありますし、肛門の組織に細菌が入り込み炎症を起こし、肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)を発症して、痔ろうになるケースや、勢いよく出る下痢便で、きれ痔を起こす場合もあります。また、温水洗浄便座による洗いすぎや、おしりの拭きすぎによって、肛門やその周辺が荒れたりもします。肛門周辺に痛みを感じたり、腫れたりする場合は、上記の可能性が考えられますので、こうした症状がある場合は、肛門科の受診をお勧めします。肛門科では、下痢や便秘、便失禁などについても診察してもらえます。
ただ下痢になったからといって、必ず痔を発症するわけではありません。トイレの滞在時間の長さや、頻度の高さが痔を引き起こす原因ですので、できるだけトイレの滞在時間を短くしましょう。まだ便が出そうだからといつまでも座らず、その時に出る分だけを出して、一度トイレから立ち去るようにしてください。快適な肛門を保つには、まずは腸内環境を整えるのが大切と、毎日患者さんにお話ししています。
順心神戸病院
白野純子 先生
いぼ痔は便秘より下痢の方が悪化するケースも
痔の原因といえば便秘をイメージしがちですが、硬い便を出す時と同様、激しく出る下痢の便も肛門に大きな負担がかかります。肛門の皮膚が裂けることできれ痔になりますし、下痢の便による細菌感染は肛門周囲膿瘍から痔ろうを引き起こします。さらにきれ痔を繰り返すことでも、そこから細菌が入り、痔ろうになる場合もあります。また、いぼ痔のある方は、便秘よりも下痢の方が症状を悪化させているケースがみられます。
そうした痔にならないためにも、まずは下痢を治し、快便となることが大切です。バランスの良い食事はもちろん、水分も1日1.5~2リットルを目安に、こまめにとるようにしましょう。下痢を起こしやすい方は、お腹を冷やさないように温かい飲み物にしたり、刺激物や飲酒を控えるよう心掛ける。食べ物で下痢をしやすいものがあるときは量を調節するのも良いでしょう。
草間かほるクリニック 院長
草間香 先生